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キャスティングにこだわる

キャスティングあってのテンカラ釣り

 

ある時から「あまり毛鉤に拘らないのがテンカラ釣り」と云われるようになった。

これはテンカラ人口を増やすための言葉としてとても便利であったように思う。

メディア戦略的にもとても刺激的な言葉であったのは間違いない。

 

しかしこれに反発した手練れのテンカラ師も多かった。

この言葉に隠された真意なんていうのはさて置き、とにかくあぁだこぉだと釣り談義。

 

たしか1990年、僕が小学生の頃の話にはなるが、釣り仲間のおじさんたちもこれについてイロイロ熱くなっていたのを覚えている。

今になって思えば頑固な釣り師が集まった酒の席ですから仕方のないこと。

八木沢でも、銀山でも夜のダムサイトは賑やかで時には怒号が響いたなんてことも珍しことではなかった。

いまでも鮮明に覚えているが、おじさんたちより一回り以上若そうな柴崎君は朝起きたら顔が腫れあがって変形していた。

顔を殴るとこんなふうになるんですかっていうくらい。

せっかくのお盆休みに大雨でボートを出せない日が何日か続いていたのでおじさんたちは相当イライラしてたのだろう。

 

僕は小学2年くらいで酒乱という言葉を覚えた。

今でもお酒を飲まないのはこういった経験があるからだろうか。

 

たしかに大イワナには惹かれたが、それよりも一人で自転車で気ままに行ける東秩父村の小さな川が好きだった。

たいていチビヤマメしか釣れないのだけれどそれでも持ち帰りサイズが出れば爺ちゃんへの土産になった。

爺ちゃんの川魚の味付けは醤油ぶっかけで煮るだけ。

 

ちなみに北海道出身のおじさんに教わったのが写真にあるニジマスの塩糠漬け。

本当はニシンで作るそうです。

 

思い出話はこのくらいに。

 

本題。

 

目を疑いました。

「テンカラはキャスティングにこだわらない」

と。。。

この真意はわかりませんが、また「こだわらないシリーズ」の再来かと。。。

 

 

魚を釣るためのキャスティングです。

川読みが優れていればこそ、その眼力をキャスティングで最大限に利用していただきたいと。

 

一投目が勝負なわけですからキャストは可能な限り一振りで決める。

渓流魚は頭上を動くものにとても敏感です。

2投3投と振り直しているうちに警戒されてしまいます。

 

丁寧に釣るというのは、ポイントをまんべんなく探るのはもちろんですが、

それよりも一振りを丁寧に決めるということです。

 

置き方にしてもタタキ射ち、引っ掻き、水面に静かに置くこともある。

背後に障害物があるからバックキャストできないので飛ばせませんでは困ります。

 

そもそもバックキャストという概念はレベルラインが流行ってからのように思います。

撚り糸ならば後ろに飛ばすのではなくて、後ろに引くようにするのです。

 

キャスティングに拘らなくてはテンカラの面白さは半減です。

だから僕は自在に操れる撚糸テーパーラインを使います。

 

 

 

気がつけば、僕が柴崎君くらいの歳になりました。。。

 

 

 

 

DaisukeTsuchiya